うわのそら 2009年6月19日


 昨日寝る前ふとんの中で夫から、

 「今まで詠んだ短歌のなかで、自分で一番気に入っている歌ってどれ?すぐ言える?」

 と聞かれ、
 すぐには何も出てこなくて、
 眠りにつく寸前までずっと考えてみたけれど、
 一向に思い浮かびませんでした。

 そういえば私は
 自分のどの歌が好きかなんて、
 今まで一度も考えたことがなかったなぁ。

 他人の歌に関しては、
 一番のお気に入り歌がはっきりあるのだけれど、
 自分でつくった歌に対して、
 満足のいく出来具合かどうかではなく、
 好き嫌いの判断をつけるという発想がありませんでした。

 夫のした質問は私にとって、

 「自分の身体の細胞のなかでどの細胞が一番好きか」

 と聞かれているようなもので、
 ひとつひとつに対して好き嫌いの差はなく、

 全部が好きな気もするし、
 全部が嫌いな気もするのです。

 質問されてみて初めて、
 「我ながらこれはすごく最高に好きだ!」と
 はっきり言える歌が、
 一首ぐらい欲しくなりました。